【保存版】高さ制限まとめ 住居偏

道路高さ制限

どうも、もやしです!

今回は高さ制限についてです。

高さ制限とは、一定の角度をもって建物の立体的ボリュームを制限することにより上空への抜けを作り、開放性を保てるように街並みを形成できるよう定められているようです。

住宅を設計する上での高さ制限は、制限とは言いつつボリュームを決定づけことができる要素でありヒントでもあります。

建築基準法で定められている高さ制限として主に「絶対高さ制限」、「道路高さ制限」、「隣地高さ制限」、「北側高さ制限」の4つがあります。(日影規制や天空率については割愛します)

絶対高さ制限(法55条)

第一種・第二種低層住居専用地域においては、絶対高さ制限として10m又は12m以下の高さの限度を定めています。

ただし、10mと定められている場合や、周りに公園や空地等がある場合は、特定行政庁(各市町村区の建設課等)の許可があればこの限りではありません。

 

道路高さ制限(法56条1項一号)

道路斜線は、敷地と道路が面する側からかかる斜線の制限です。

下の図の赤い斜線は、第一種低層住居専用地域などの住居系地域の勾配、青い斜線は、商業地域などの住居系以外の地域の勾配を示しています。(例外もあります)

斜線は原則、住居系は1.25、その他は1.5の勾配で発射されます。

道路高さ制限

道路のみ

上図の左側のパターンとなります。

斜線は前面道路の反対側からの発射が基本ですが、図のように敷地境界から建物が離れている場合は、離れている距離分(後退距離a)、さらに外側から道路斜線が発射されます。

反対側に公園、広場、水面その他これらに類するものがある(施行令134条)

上図の右側のパターンとなります。

斜線は公園等(※1)の外側からの発射が基本ですが、図のように敷地境界から建物が離れている場合は、離れている距離分(後退距離a)、さらに外側から道路斜線が発射されます。

制限の緩和(2A緩和)(令132条)

2A緩和

敷地が道路に2面接する場合、道路高さ制限の緩和を受けることができます。

注意:角地でなくても2面道路に接していれば緩和の措置が可能です!

幅員が大きい前面道路(幅員Am)の境界線から水平方向、2Amかつ35m以内の部分については大きい幅員(Am)とみなして道路斜線を計算できます。

また、幅員の大きい前面道路からの距離にかかわらず、幅員の小さい方の道路中心から10m以上の部分も、大きい幅員(Am)とみなして道路斜線を計算できます。

この図で言えば、敷地の左下のエリアは緩和がなく道路斜線の計算に使われる幅員はBmとなります。(色が薄くて見にくくなってしまいすみません…)

道路斜線その他確認事項

・建物の後退距離の緩和(令130条の12)

敷地内に物置やポーチ、柵等があっても高さや面積により後退距離を受けられる場合がある

・住居系の高さ制限の緩和(法56条)

前面道路が12m場合、一定の斜線緩和を受けられる

・斜線が発射される部分から一定距離以上は道路高さ制限がない(法56条)

一定距離は容積率により決まる(法別表3)。最低20mから制限がなくなる

隣地高さ制限(法56条1項二号)

隣地斜線は、敷地と隣地が接する部分からかかる斜線制限です。

住居系(低層を除く)の用途地域は、20mから1.25の勾配、その他の用途地域は31mの高さから1.5の勾配で制限がかかります。

住宅に焦点をおいた本ブログでは20mを超えてくる建物はないと考え、詳しい内容はここでは割愛させていただきます。

北側高さ制限(法56条1項三号)

北側斜線は、真北方向から敷地の建物にかかる斜線制限です。

北側斜線が発射される位置は境界線であり、建物の後退による緩和はありません。

また、住居系以外の用途地域にはこの高さ制限は適用しません。

低層住居系の用途地域は敷地境界線5mの高さから、その他の住居系の用途地域は敷地境界線10mの高さからそれぞれ発射されます。

北側斜線

北側が隣地である

上図の左側です。

隣地との境界から所定の高さで発射されます。ほかの高さ制限と比較すると最も厳しい規制となります。

北側に道路がある

上図の中央です。

道路がある場合は、道路の反対側の所定の高さから制限がかかります。

北側に水面、線路敷きその他これらに類するものがある

上図の右側です。

水面等(※1)がある場合は、水面等の幅の1/2だけ境界から外側にあるとみなし制限がかかります。

高度地区における高さ制限(建築基準法及び都市計画法)

上記で示した斜線制限とは別に都市計画法における高度地区の斜線制限があります。

都市計画法によると、高度地区を以下のように定義しています。

高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、または土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度または最低限度を定める地区とする

都市計画法第9条17項

高度地区の採用は自治体ごとに異なり、我が国の首都、東京都については採用されています。

高度地区の制限は、真北方向にかかるので北側斜線の強化版と考えます。東京で斜線制限を考える際は、高度地区制限をクリアできれば、自ずと北側斜線もクリアできるということです。

高度地区は、第一種高度地区、第二種高度地区、第三種高度地区等に分かれます。ここでは3つの高度地区を下図に示します。

高度地区

敷地内と敷地外に1mを超える高低差がある場合(令135条の2、3、4)

敷地内と敷地外に1mを超える高低差がある場合は、下図のようにみなし地盤面を計算します。

単純に高低差がある分だけ高さ制限が上下するわけではないので注意です!

基本的な考え方としては、敷地外が低い場合は建てられる建物の高さが低くなり、敷地外の方が高い場合は建てられる建物の高さが高くなります。

高低差

敷地内に高低差がある場合(令2条)

敷地内に高低差がある場合、各高さ制限を求めるための規定の地盤面を設定する必要があります。

敷地内高低差3m以下

高低差が3m以下の場合は、平均地盤面を求めます。

平均地盤面は、高低差3mであれば、1.5mの位置が地盤面となります。

高さ制限で求められる高さは、平均地盤面からの高さとなります。

敷地内高低差3m超

高低差が3mを超える場合、高低差が3m以下となるようにエリアを自由に分割し平均地盤面を求めます

分割した例を下図に示しました。この場合のエリア分けはA-B、B-C、C-Dの3つです。

3m以下となるエリアをうまく設定できれば、敷地の立体空間を有効活用することもできます。

 

3m超高低差

まとめ

いかがでしたでしょうか。

斜線制限は景観を守るためにある決め事でもあるので、景観や街並みにも配慮しながらボリュームを決定するように心がけましょう。

 

少しでも皆様のアイデアの引き出しが増えることを願ってます!

ご精読ありがとうございました。