開口と枠をデザインしよう!

開口と枠をデザイン

どうも、もやしです。

本日は、建物の内部における開口と枠についてのお話です。

開口部や開口部につく建具は、設計においては目立たない存在のため無秩序に計画されがちです。

ですが、目立たなものでも大きさや形を工夫することにより空間に及ぼす影響は大きく変わってきます。

うまく工夫すれば、室のアクセントとなりますし、逆に誤った計画をすれば統一感のない空間を生み出してしまいます。

ここでは、開口と枠のデザインとその特徴をご紹介いたします。

開口と空間の関係性

開口のつくり方によって隣り合う部屋同士の関係性を作っていくことができます。

開口のつくり方で以下4つを挙げます。

垂れ壁のある開口部

垂れ壁

一般的な建具の開口廻りでよく使われます。

垂れ壁を設けることによって重心を下げることができ、開口を通ることで落ち着きを生む効果があります。また、垂れ壁により空間を区画する効果が大きいです。

空間用途としては、水廻りや寝室などの独立した空間の間仕切り部分として使うのがベターだと思います。

垂れ壁のない開口部

垂れ壁
床から天井まで開口となったものです。

垂れ壁がない分、空間を分断する力が比較的弱いので、空間の連続性を生むことができます。開口を通して奥の空間を垣間見せることができ、まるで美術館にいるような非現実感を表現することもできるかもしれません。

引戸との相性が良いです。

空間用途としては、住宅におけるパブリックな室同士の接続が好ましいと思いますが、オールジャンルで使えると思います。

スライディングウォール(可動間仕切り)

スライディングウォール

間仕切りを可動式のスライドドアとし、必要に応じて解放することで部屋同士を接続することができます。

複数の空間の用途をフレキシブルに変更したいときに採用すると良いと思います。

用途としましては、リビングと寝室、将来子供部屋を分けたい場合、などがあると思います。

腰壁のある開口部

腰壁

壁の一部分を抜き取ったような開口で、腰壁があるので実際に人が通るようには計画しません。

効果としては設置高さにより異なりますが、視線が通るような高さなら、開口から部屋を見渡すことが出来ます。

視線を遮るような高さに設置すれば、プライバシーを守りつつ、家族の気配を感じられるような効果があります。

用途としては、視線の通る開口ならキッチンとダイニングや家事スペースと玄関ホール、視線を遮る開口ならリビングと寝室、などに採用できるのではないかと思います。

建具の種類と特徴

開口の作り方は建具によっても違ってきます。

ここでは一般的な2つの建具をあげるとともに、その特徴を書いていきます。

開き戸

開き戸

メリット

①気密性が高い

②戸袋がない分、少ないスペースで設置可

③間仕切り内の配線計画が楽

④比較的安価

デメリット

①扉を開くときのスペースが必要

②高齢者にとって使い辛い

どんなところで使う?

家であれば、オールラウンドに使われます。トイレなどで音漏れや匂い漏れを避けたいといった要望があればぜひ開戸を採用したいです。

戸袋空間がなく、周辺の間仕切り壁をコンセントやニッチとして効率的に利用できます。狭小住宅ではどうしても壁の面積が少なくなってしまうので、開戸を採用した方が生活のしやすい計画ができると思います。

引戸

引戸

メリット

①美観性が良い(扉開放時の不自然さがないなど)

②高齢者でも開けやすい

③風通しが良い

デメリット

①気密性が悪い(音漏れ)

②レールが邪魔

③戸袋空間が必要

どんなところで使う?

引戸の一番の特徴は、個人的には美観性だと思います。ですので、プライベート性の低いリビングや客間では見た目を重視して引戸を採用する場合も多いです。

また、戸袋があり開放した際に不自然さがないため、通風のルートに引戸を採用するのも良いと思います。

建具の枠をひと工夫してみる

壁をデザインする要素の一つとしてあげらるのが戸本体ですが、建具の枠も大きな要素となります。

ここでは、建具の枠に着目し3つ納まりの特徴について書いていきます。

枠を見せる

枠を見せる

完全に枠勝ちとなるような納まりです。間仕切り面よりも枠が出っ張っているので、額縁感がでて開口がくっきりと見えます。

もっとも一般的に使われる納まりです。

枠に巻き込む

枠を巻き込む

半枠勝ちとなるような納まりです。枠自体の存在感が少なくなるので、開口の印象を抑えることができます。

枠を隠ぺいする

枠を隠ぺいする

枠をクロス(壁)の中に隠してしまう納まりです。はたから見るとクロスが張られているので枠がないように見えます。開口の存在感は最も少なく美観性が向上する上、壁の連続性を強めることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

開口や枠は、住宅内部を繋ぐ境界線です。

開口・枠はすべて同じ仕様にするのは望ましくはありません。隣り合う室の関係性を考慮すれば、自ずと開口・枠のデザインが変わってくるはずです。

空間の関係性に合わせ適材適所に境界を作っていくことが、部屋と部屋を心地よくつなぐ開口・枠を考える要素となると思います。

 

少しでも皆様のアイデアの引き出しが増えることを願ってます!

ご精読ありがとうございました。